自分の人生にとって何が大切かは、自分で決めて良い

 タイトルだけ見ると、当たり障りのない、世間でもあちらこちらで言われていることですが、この言葉の持つ重さについて考える機会というのは、実際のところ、あまり無いように思います。そこでこの記事では、少しではございますが掘り下げてゆくことにします。

 同人コミュニティにおいては、創作活動を優先しようとする者が本当に多いですし、創作そのものを好き好んでいる人でいっぱいです。そのような人たちが集まってコミュニティが出来上がっているわけですから、皆で創作をもっと盛り上げようとしてゆくことも当然のことだと思います。そうでないと、恐らく同人コミュニティは成り立たないでしょう。

 ですが、誰もが創作を何よりも大切にしなければいけないかと言われると、それは違うと思うのですね。もちろん仕事よりも同人や創作の方を重要視したい方はたくさんいらっしゃるでしょうし、そういった方たちに喧嘩を売るつもりはありません。とは言え、誰しもがそういう類の人間であるわけではありますまい。どうしても創作よりも仕事や実生活の方を優先したい方だっていらっしゃるかと思います。

 いったい何が言いたいかと言いますと、何らかの事情で同人や創作から離れることは、全般的に見て必ずしも良くないことではない、ということなのですね。もっとも、同人コミュニティにとっては喜ばしくないことなのでしょう。関わってくれる人が減るのですからね。一方で、創作から手を引いた人の人生という道を考えたときに、それが絶対にマイナスに作用するかと言いますと、そうとは限りません。むしろプラスの方に働くことだって決して少なくありませんよね。

 それ故に、特に同人に関わっている者たちは、色々あってそこから離れてゆく者たちを悪く言うのを止めていただきたいと思います。残念がりたい気持ちは嫌というほど分かりますが、できることなら清々しい笑顔で見送ってほしいものです。自分の人生において何が重要かは、その人が決めて良いのですからね。他人がとやかく口を挟む権利はありません。

 同人というものは、決して義務ではありません。生活がかかっている商業作家ではあるまいし、本来は締め切りの有無など各自で勝手に決めれば良いものです。それに、いつ始めても良いですし、いつ止めても構わない性質のものでもあります。なので、仕事のために同人を軽視せざるを得ない人が出てきたとしても、それは仕方ないというものです。

 仕事が大事か、同人が大事か。どちらを選ぶかは個々人の価値観に委ねられるべきものであります。誰かが強制して良いものではありません。例えば、同人を大切にしている人がいわゆる仕事人間を見下すのは、本来ならばあってはならないことです。逆に、仕事熱心な人たちが同人趣味のある人を馬鹿にするのもよろしくないことでございます。

 人生において何が重要か、なんて誰かが勝手に決めて良いものではありません。同人や創作がどうしても止められないのなら、それに熱心に取り組むことも一つでしょう。しかしながら、様々な事情により同人コミュニティから身を引こうとする人を無理に引き止めてはなりません。その人にとって仕事や介護などの方が大事なら、そのようにさせてあげれば良いではないですか。

 どうも同人コミュニティにおいては、一旦同人に関わったら何とかして継続していかなければいけない、というような圧力が無意識のうちに掛かっているように感じます。もちろん、誰もがそれに従う必要はありません。ただ、たまにしか作品を創らないような方には、精力的に活動している方が羨ましく見えてくることはあるでしょう。しかし、誰もが必死こいて作品を拵える必要などこれっぽっちもありませんし、そのような雰囲気のあるコミュニティをこれからは目指さなければならないのです。

 もう一度書きますが、人生で何を重視すべきかは、自分で決めてしまえば良いのです。仕事の多忙さ故に同人をやめたとしても、それは決して悪いことではありません。一時期だけ見ると良くないことかもしれませんが、長期的に見ると良い方向に行くことも大いにあり得ます。同人に関わっている者たちは、このことを忘れないようにしていただきたいものです。